非会員の参加について

 明治大学で開催した第1回倫理委員会特別シンポジウムは、参加費を支払った方はどなたでもオンタイムで参加可能でした。一方、第2回以降のシンポジウムは、オンタイムでの参加は学会員に限定しています。当日参加できなかったり、非会員の視聴希望者のために、開催一月後にYouTubeにて限定公開記録を視聴できる仕組みを整えています。

他国や他学会の声明について

 Age of Apologyという書籍が2007年に刊行されているように既に複数の国家が謝罪表明しています。例えば永原陽子『「植民地責任」論』は有意義な参照文献になると思います。また学会ではThe American Psychoanalytic Associationは2019年にLGBTQの診断に対し、American Psychological Associationは2021年に人種主義について、American Anthropological Associationは2021年にアメリカ先住民に謝罪しています。それぞれに含意がありますので、下記のハイパーリンク先をご参照ください。                                                                 The American Psychoanalytic Association https://apsa.org/content/news-apsaa-issues-overdue-apology-lgbtq-community                 

American Psychological Association https://www.apa.org/news/press/releases/2021/10/apology-systemic-racism                    

American Anthropological Association https://www.americananthro.org/StayInformed/NewsDetail.aspx?ItemNumber=28239

アンケートの集計結果公開について

 第1回特別シンポジウムでのアンケートの集計結果の概要は、約2ヶ月後に実施したワークショップで取り上げました。質問自体が個人情報を含むこともあるため、そのままの形で公表することは望ましくないと思われます。

研究者以外のアイヌの方の意見を聞く予定について

 すでにそうした試みは行われています。例えば、1988年の「民族学と少数民族—調査する側とされる側—」分科会では登壇者9名のうち、2名がアイヌ民族の登壇者でした。また1996年の日本人類学会・日本民族学会の連合大会でのシンポジウムでは、3名のアイヌの方々が報告しました。日本文化人類学会との関連の深い日本学術会議は2011年に「今、アイヌであること――共に生きるための政策をめざして」というシンポジウムを開催し、複数のアイヌの方々に登壇して頂きました(日本学術会議第一部地域研究委員会人類学分科会と第二部統合生物学委員会自然人類学分科会の共催)。

 日本文化人類学会の倫理委員会としても、すでに、「アイヌ民族に関する研究倫理指針(案)」へのパブリックコメント後に、非研究者の人びとからのチャランケ(話し合い)の提案を受け、面談を通して対応してきました。2022年6月以降の第30期倫理委員会でも、アイヌ民族の個人や団体にご挨拶をし、聞き取りを行う計画を立てています。

謝罪という言葉をもちいることについて

 今回のシンポジウムは第2回目ですが、2023年2月に開催した第3回目では植民地主義をふり返りました。倫理委員会では「謝罪」という言葉の選択について議論を重ねています。

謝罪を含めた声明の内容とその発出の手順について

 「謝罪」という言葉を含んだ声明については、第3回シンポジウム(2023年2月開催済み)、第4回シンポジウム(2023年4月開催予定)に参加したり、YouTube映像を御覧になってから議論して頂ければ幸いです。声明発出の手順としては、2023年の研究大会(県立広島大学)にて、これまで実施した一連のシンポジウムの内容を報告し、学会員の意見やコメントを確認して進める予定です。

歴史的経緯の複雑性を捨象してしまう危惧について

 第3回目以降のシンポジウムでも、複雑に絡まりながら現在まで継続する色々な問題を具体的に知り・考える機会となることを目指します。

謝罪と併せてアイヌの人びとと本学会とが何かを一緒にやってゆく予定について

 検討する予定ですが、学会が取り組むということは、倫理委員会だけが取組むという意味ではなく、ひとりひとりが取り組めるということでもあります。

今後のアイヌ研究がどうあるべきか、について

 倫理委員会では、各シンポジウムについて会員から寄せられるアンケート内容を確認しながら今後の予定をたてます。それと並行して各会員が必要と思われる研究会を自発的に組織することも推奨します。

具体的な支援の予定について

 現在はアイヌ民族の人びとが抱える研究教育者との間の問題を聞き取っています。その内容が学会の過去に関わることであれば反省し、現状変革のためにどのような働きかけがあり得るのかを模索します。